給与から天引きや、自営業税などから拠出されるソーシャルセキュリティ(年金)とは別に、個人で積立ができる個人退職金制度(リタイアメントプラン)があります。
その中でも、タックスリターンでの所得税の税控除を受けられる方法がいくつかあります。
Traditional IRAによる税控除
一般的なリタイアメントプランとして、IRA(Individual Retirement Arrangements)があり、Roth IRAとTraditional IRAの2種類があります。
両方のIRAとも、1年間で$6,500/人(50歳以上は、$7,500/人)まで、ご夫婦で$13,000(2人共50歳以下なら)まで拠出することができます。
Roth IRAは、先に所得税分が計算され、それを引かれた状態で拠出(積立)されるため、老後に分配金を受け取る際には、その分には課税はされません。
一方、Traditional IRAは、拠出する際には非課税ですが、将来受け取った際には所得となり、他の所得とともに課税がされます。
ただし、Traditional IRAでは、上限額を拠出(積立)した場合、その年の課税対象所得から控除されます(所得税が控除されます)。
個人的に将来に備えてのIRAへの拠出が、その年の節税につながります。
SEP IRAによる税控除
Traditional IRAやRoth IRAが個人で行えるプランであるのに対し、会社、雇用ベースで行える、SEP IRA(Simplified Employee Pension Plan:簡易厚生年金プラン)があります。
このSEP IRAは、会社ベースで行う(雇用主が拠出する)プランのため、拠出金がビジネスの経費として認められるため、福利厚生として利用することもできます。
ただし、このSEP IRAに参加できる条件があり、
- 21歳以上
- 過去5年間のうちに3年間、その会社で就労している。
- 1年間に$750以上の給与を得ている。
にクリアしている雇用主、従業員は、SEP IRAに参加することができます。
年間に拠出できる金額が決まっており、年間の給与の25%まで、または、$66,000までのいずれか低い方(最大$66,000)まで拠出することができます。
このSEP IRAは個人事業主でも参加することができますが、個人事業主の場合は給与が取れないので、事業の純利益が所得になりますので、その純利益の20%まで(純利益も$330,000まで)拠出することができます。(実質、最大$66,000まで)
これら拠出した額は、事業の経費として計上、控除されます。
特に、S-Corpの場合は、事業収入がオーナーの所得になるので、SEP IRAを行うことで事業収入が圧縮されるため、オーナー個人の所得税の節税につながります。
個人事業主の場合も同様ですが、ただし、拠出額の計算率が20%と低く、また自営業税もかかりますので、ある程度の事業収入が出てきたら、法人化を行い、S-Corpに切り替えるとより節税効果が高くなります。
どれぐらいの差になるのか、SEP IRAの拠出額と納税額のおおよそが分かる計算機をご用意しましたので、ご確認下さい。
Sole 401(k)による税控除
オーナーだけで従業員がいない雇用主、個人事業主向けの確定拠出型リタイアメントプランで、フルタイムの従業員がいる場合は、参加することができないのですが、本人と配偶者だけのビジネスで、S-Corpの場合、効果的に節税が機能します。
Sole 401(k)は、従業員と雇用主の両面での参加ができるので、まず、従業員として給与からの源泉徴収でSolo 401(k)に拠出することができます。
こちらの上限は、$22,500(50歳以上は、$30,000)まで給与から拠出することができます。
さらに、雇用主(会社)から、プロフィットシェアということで、総給与額の25%までをSole 401(k)に拠出することができ、これも会社の経費(福利厚生費)として計上することができるので、S-Corpでの事業収益からの課税対象所得の圧縮につながります。
個人事業主で、1人ビジネスの場合は、Solo 401(k)に参加することはできるのですが、給与を取っていないため、事業収益から、自営業税の半分を引いた額から拠出額を計算しますが、拠出率を計算するために予め設定されている拠出率で計算をします。
また、拠出する対象となる年間の報酬額の上限は、$330,000までとなっています。これを元に最大20%の範囲内で決めて頂き、その率で設定されている率で計算をして最終的な拠出額を出します。
その拠出額は、課税所得から控除されます。
リタイアメントプランによる節税まとめ
- Traditional IRAで、$6,500/人(50歳以上は$7,500)拠出(積み立てる)ことで、その分が所得税から控除される。
- SEP IRAは、最大で$66,000まで、会社から福利厚生として拠出することができ、その分も事業収益からの控除がされる。S-Corpであれば、オーナー個人の所得税の節税につながる。
- Solo 401(k)は、従業員のいない場合、オーナー給与からの天引きと会社からのマッチアップで控除が受けられます。
総合的に、会社経営をされているのであれば、Traditional IRAよりも、SEP IRAまたは、Solo 401(k)を活用した方が控除が大きくなります。
特に、S-Corpの場合は、事業収益がオーナー個人の所得になるのと、給与を取ることができるので、SEP IRA、Solo 401(k)を活用することで、大きな節税効果が得られます。
個人事業主である程度の事業収益が出てきているのであれば、法人化して、S-Corpにされることをお勧めします。
もちろん、税制面だけでなく、信用度の増大など、法人としてのメリットも大きいので、ある程度の事業規模になってきたら、法人化をご検討下さい。
会社設立・法人化はこちら